繁盛歯科医院　虎の巻

五の巻　 「求められる情報にのみ価値が存在する」

2008-06-30 配信

この虎の巻も早、五の巻きとなりました。皆様の医院ではお役に立っておりますでしょうか？前にも書きましたように、毎年約3000人の歯科医師が誕生しているこの時代。同時に毎月どこかで本業の不振により廃業している歯科医院があることも現実です。数年前までは、歯科医院の廃業理由は本業以外の投機の失敗や、後継者がいないためのやむをえない廃院がほとんどでした。現在のようにただ漠然と診療しているだけでは業績不振を招いてしまう厳しい時代には、今までと同じやりかたでは医院の経営が成り立たないことを改めてご理解ください。
さて、今までは主に診療側のあり方について書いてきましたが、今回は来院される患者様は歯科医院をどう思っているのか？と言うことについてお話しましょう。

「求められる情報にのみ価値が存在する」

多くの歯科医院では待合室の壁に、歯科医師会や材料商からの啓発・販促用のポスターなどが掲示してあります。歯科医院側では患者様に対する歯科医療や予防についての教育として有効だと思っているようですが、患者様はどう思っているのでしょう？歯周病で抜け落ちてしまった口腔内の写真を見て、平常でいられると思いますか？普通の神経の方は不快な気分になるのではないでしょうか？また、院長先生や勤務医の先生の学会認定証やサーティフィケートを目立つところに掲示し、技術力を誇示している方も多いのですが、あるアンケートによると、患者様が歯科医師を選ぶ基準として求めている情報の内、学会認定の有無を意識する患者さんは８%程度なのです。それよりも「きちんと説明してくれるか」（58.1%）、「治療の方針・特徴」(53%)などの情報を求めているのです。加えて歯科医院の情報が少ないと感じている方は実に80%にもなります。治療の後に良い歯医者さんだったかどうかを判断する基準では、実に50%の人が「よく説明をしてくれる医師」を上げています。逆に歯科医師に対する不満では32.4%の方が「説明が足りない」と感じています。（不満の1，2位は「待たせる」「痛い」でした。）これらの結果を見ると、実に多くの患者さんが医師との会話を求めていることが読み取れます。診療技術さえ磨いていれば患者様に満足をしていただけると考えていた先生方にはちょっとした驚きではないでしょうか？さて、先生の医院の壁の掲示は今までどおりでよいのでしょうか？患者様が求める情報を提供することもサービスの重要なポイントではないでしょうか？もちろん、先生やスタッフが丁寧に説明を行い、ポスターやリーフレットはその補足と位置づけることは言うまでもありません。また、診療室内のカウンターにマルモが無造作に置いてある医院も多いのですが、患者様はそれを見てどのように思うでしょう？院内のスタッフは見慣れているので何も感じないでしょうが、一般人にとっては骸骨の標本を見るのと同じくらい気味が悪いものなのです。待合室の花や雑誌をきちんと整えるとともに、患者様の目に入るところにあるものは全てきちんと片付けておきましょう。ただでさえ、歯科医院で使う器具に対してほとんどの方は恐れを感じているのですから。

このシリーズのバックナンバー

• 壱の巻　「広告は集患の切り札？」
• 弐の巻　「Hospitalityを見失ってしまったHospital」
• 参の巻　思った以上のサービスを受けて顧客は満足する
• 四の巻　「『さん』でも『さま』でも大事なのはおもてなしの心。」
• 五の巻　 「求められる情報にのみ価値が存在する」
• 六の巻　 「マーケティングとは何ですか？」
• 七の巻　「売れる仕組みを作る」
• 八の巻　PEST分析で自院（患者）を取り巻く外部経営環境を知る

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